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精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)を持つメリットと デメリット|等級による違い

精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)

 

精神障がい者も身体障がい者や知的障がい者と同じように、障がい手帳の交付を受けることができます。精神障がい者保健福祉手帳の交付は精神障がい者の自立と社会参加を促進するために講じられている支援策で、地方公共団体における各種のサービスを利用できたり、持っているだけで経済的な支援が受けられたりするメリットがあります。では、取得することにデメリットはあるのでしょうか?今回は精神障がい者保健福祉手帳を持つことのメリットとデメリットを解説します。

 

精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)とは

精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)とは障がい者手帳の種類のひとつで、自立と社会参加を支援する目的で精神疾患のある方に交付されるものです。

障がい者手帳には身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の3種類があり、それぞれ身体的な疾患のある方、知的障がいがみられる方、精神疾患のある方が取得の対象となっています。身体障がい者手帳は1級から6級まで、精神障がい者保健福祉手帳には1級から3級までの等級に分けられており、障がいの程度が重いほど等級が高くなるのが特徴です。療育手帳も同様に、重度とそれ以外の2種類に区分されています。

本人は障がいに苦しんでいたとしても、外から見ただけでは精神的な疾患があることがわからないという場合もあるため、障がい者手帳を持つことは自らの疾患を証明することにもつながります。仕事の面でも障がい者雇用制度を利用できるなど、手帳の取得は社会参加の手助けとしても有効です。

障がいのある方が障がい者手帳を取得するかどうかは任意となりますが、取得することで福祉サービスや医療費の助成などの経済的支援を受けることが可能になります。

 

精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)の対象者は?

精神障がい者保健福祉手帳を取得するためには、医師の診断書が必要です。精神疾患で初診を受けてから6ヶ月以上にわたって症状が続き、それによって普段の生活にも支障が出ている場合が対象になります。

対象となるのはすべての精神疾患ですが、代表的なものとしては統合失調症、うつ病、双極性障がいなどの気分障がい、てんかんなどの疾患があります。

近年外来を受診する方が増加している発達障がいもその中に含まれています。半年以上通院している方は、診断書をもらえば申請手続きをすることが可能です。

精神障がい者保健福祉手帳には2年に1度の更新手続きがあります。2年の間に症状が改善していた場合、更新審査の際対象に当てはまらないと判断されて手帳を返納することになる可能性もあります。
 

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精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)を取得するメリット・デメリット

障がいの程度に関わらず、障がい者手帳を申請するかどうかは個人の自由です。申請の手続きには時間がかかりますが、精神障がい者保健福祉手帳を取得することによって受けられるサービスはいくつもあります。ここで、手帳を取得する場合のメリットとデメリットについて説明します。

取得するメリットはたくさん

精神障がい者保健福祉手帳を取得する最も大きなメリットは、経済的な支援を受けられることです。障がい者控除によって各種税金が安くなったり、多くの携帯キャリアで使用料が割引になるなど、日常生活の中でも多くの場面で役立ちます。自治体によっては駐車場などの公共施設の利用料や、バスやタクシーなどの運賃が通常より安く抑えられるのも便利です。障がいの程度が重い方は、訪問介護や就労支援といった福祉サービスを受けられます。

また、障がい者手帳があれば障がい者雇用枠での就労が可能です。障がい者雇用枠とは、一般的な採用では障がいのある方が不利になることを考えて設けられた障がいのある方のみが対象の雇用枠のことです。民間の企業や公務員など、豊富な選択肢の中から興味のある仕事を探せるため、求職中の方には嬉しいメリットです。

 

デメリットは少ない

障がい者手帳を申請する際の書類の用意や手続きが面倒に感じられることはあるかもしれませんが、精神障がい者保健福祉手帳を取得するデメリットはほとんどありません。障がい者手帳を取得しても必ず提示を求められるというわけではなく、不要になれば返納することも可能になっているため、周りの人に障がいを知られたくないと考えている方も安心して利用することができます。

身体障がい者手帳や療育手帳といったその他の障がい者手帳と異なり、精神障がい者保健福祉手帳には2年間の有効期限が存在します。自動的に更新されるわけではないため、2年ごとに更新手続きを行わなくてはならないので注意してください。更新手続きには医師の診断書などの書類が必要になるため、期限までに手続きができるよう前もって準備しておきましょう。

 

精神障がい者保健福祉手帳の等級による違い

精神障がい者保健福祉手帳は1級から3級までの等級に分かれており、この等級は障がいの程度や、日常生活の中でどの程度の制約を受けているかによって判定されます。

1級は特別障がい者とも呼ばれ、他人の援助を受けなければ日常生活が困難であると判断される最も重い等級です。生活を送る中で著しい困難を伴う場合は2級となります。最も程度の軽い3級は、日常生活は概ね過ごせるが一定の支援が必要という基準で判断されます。

 

等級によって受けられるサービスの違いは以下の通りです。

 

 

項目 各種控除
1級 ・医療費の助成金

・自動車税の控除

・贈与税の控除(6000万円)*1

・所得税の控除(40万円)

・相続税の控除(20万円)*2

2級 ・医療費の助成金

・贈与税の控除(3000万円)*1

・所得税の控除(27万円)

・相続税の控除(10万円)*2

3級 ・医療費の助成金

・贈与税の控除(3000万円)*1

・所得税の控除(27万円)

・相続税の控除(10万円)*2

 

*1:信託銀行と締結した「特定障害者扶養信託契約」に基づく「信託受益権」のみが対象

*2:「85歳に達するまでの年数1年につき20万円」、2.3級は1年につき10万円

 

 

 

精神障がい者保健福祉手帳の申請方法と発行までにかかる期間

精神障がい者保健福祉手帳を取得するには、医療機関で初めて診察を受けた日から6ヶ月以上経過している必要があります。精神疾患が初診日から6か月経過している場合は障がい者手帳交付の申請が可能なため、まずは市区町村窓口に行って診断書に使う用紙を取りに行きましょう。

申請手続きのためには主治医に診断書を書いてもらわなくてはいけません。正確な診断書を作るためには、医師に自分の症状を理解してもらえるよう、正しく今の状態を伝えることがきわめて重要です。

診断書の他に本人確認ができる書類や顔写真などをまとめて市区町村窓口に提出した後に、申請に基づいた審査が行われます。ここで等級が決定されて、精神障がい者保健福祉手帳(精神障がい者手帳)が交付されるということになります。「障害等級3級以上」または精神障害の判定基準」に該当しないと判断され、等級や審査結果に不満がある場合は申し立てを行うことが可能です。

15歳以上の場合は本人が窓口で書類を提出することになっていますが、15歳以下であれば保護者が申請に行く必要があります。代理人による申請も可能ですが、その場合は代理人の身元を確認するための書類などさらに多くの準備が必要です。

精神障がい者保健福祉手帳の場合、申請から発行までに約2ヶ月ほどの期間を要することになるので注意しましょう。

 

精神障がい者保健福祉手帳を取得したら、就労移行支援を検討しよう

就労移行支援とは、障害者総合支援法に定められた「障害福祉サービス」のひとつです。障がいのある方が就労に向けたトレーニングを行い、働くために必要な知識やスキルを習得し、就職後も職場に定着できるようサポートを行います。

精神障がい者保健福祉手帳を取得し、いざ障がい者雇用制度を利用して働こうと思っても、不安でなかなか踏み出せないという人もいるでしょう。そんな時は就労支援を利用するのがおススメです。

何から始めて良いかわからない、自分に適した職場がわからないという方は、是非ココルポートにご相談ください。

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社会保険労務士

西岡 秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士国内の生命保険会社に25年勤務した後、西岡社会保険労務士事務所を開業。現在は、社会保険労務士として活動するとともに、社労士会からの委託を受け日本年金機構・年金事務所にて週2日ほど勤務、また金融や労務を中心に記事を執筆・監修。


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