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障がい者雇用とは?一般雇用との違い、条件、制度を徹底解説

障がい者雇用

障がい者雇用という言葉を聞いたことはあるけど具体的な内容を知らない」という方も多いのではないでしょうか。一般雇用との違いが気になる方もいるでしょう。

そこで、今回は障がい者雇用と一般雇用の違いや、条件や制度、メリットやデメリットを解説します。

障がい者雇用のことをしっかりと理解して、適切に利用できるようにしましょう。

障がい者雇用とは

障がい者雇用とは、企業や自治体などが障がいのある方だけの特別な雇用枠(障がい者雇用枠)で障がいのある方を雇用することです。

障がい者雇用では、障がいのある方が個人の能力や特性を活かしながら、快適に働ける環境作りを目指しています。企業や自治体は、障害者雇用促進法にもとづいた規則を遵守します。

障がい者雇用と一般雇用の違い

障がい者雇用と一般雇用には、応募できる条件などの違いがあります。

一般雇用の場合は、企業が定める条件を満たしていれば、誰でも応募可能です。一方、障がい者雇用は、誰でも応募できるわけではありません。また、雇用後の環境にも違いがあります。障がい者雇用枠で採用されると、それぞれの障がいに配慮された環境で働くことができます。

障がい者雇用の条件

障がい者雇用枠で採用されるには、障がい者手帳を持っていることが条件です。

障がい者手帳は、「身体障がい者手帳」「療育手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」の3種類です。いずれかの手帳を持っていれば障がい者雇用枠に応募できます。なお、手帳を持っていても一般雇用枠での応募も可能です。

身体障がい者手帳とは、身体上の障がいのある方に対して、都道府県知事などによって交付される手帳です。具体的には、視覚障がいや聴覚障がい、内部障がいなどが挙げられます。

療育手帳は、知的障がいと判定された方に対して、都道府県知事などによって交付される手帳です。知的機能の発達や社会生活能力などを総合的に評価して、障がいの程度が判定されます。なお、地方自治体によっては「みどりの手帳」「愛の手帳」などと呼ばれることもあります。

精神障がい者保健福祉手帳は、精神疾患によって日常生活や社会生活に制約がある方に対して、都道府県知事などにより交付される手帳です。具体的には、うつ病やてんかん、統合失調症などが当てはまります。

なお、2018年3月末までは、障がい者雇用の対象は身体障がいや知的障がいのある方が対象でした。しかし、2018年4月1日以降、精神疾患の方も対象に加わっています。

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障がい者雇用のメリット/デメリット

では、障がいのある方が障がい者雇用を利用した際には、どのようなメリットデメリットがあるのでしょうか。ここからは、考えられるメリットとデメリットについて詳しく解説します。

障がい者雇用のメリット

障がい者雇用のメリットは、「求人」「環境/待遇」「定着」という3つの側面に分けられます。

【求人】

障がい者雇用の求人の中には、実務経験やスキルを問わないものがあり、比較的就労への第一歩を踏み出しやすいといえます。これまでに働いた経験がない方でも、安心して仕事を始められる可能性があります。

さらに、採用後のギャップをなくすために、選考の中で業務を体験できる企業もあります。このような場合には、事前に業務内容をしっかりと理解し、自分の特性を活かせるかどうかを確認した上で、選考に進むか判断できます。

【環境/待遇】

障がい者雇用を行っている企業は、環境面でも意識面でも必要な配慮を行っているところが多いです。周囲からの理解も得やすく、働きやすい環境といえるでしょう。

障がいのある方は、通院などのために、勤務時間の調整が必要となる場合も多くなります。障がい者雇用枠で採用された場合は、そのような事情も配慮され、勤務時間の調整も相談しやすくなります。

さらに、業務内容についても調整してもらいやすいので、無理なく働けるでしょう。

【定着】

障がいのある方の場合、一般雇用枠よりも障がい者雇用枠で採用された方が、その企業に定着しやすい傾向にあります
厚生労働省職業安定局の調査によると、障がい者雇用の1年後の定着率は67.2%です。一方で、一般雇用で障がいを開示した場合の1年後の定着率は49.9%。障がいを開示しない場合の定着率は30.8%にとどまります。

参考:厚生労働省職業安定局「障害者雇用の現状等」

障がい者雇用のデメリット

障がい者雇用には多くのメリットがある一方で、求人・待遇においてデメリットも存在します。

【求人】

障がい者雇用は、一般雇用よりも求人数が多くありません。そのため、一般雇用と比較すると自分に合った仕事を見つけるまで時間がかかる可能性があります。

【待遇】

一般雇用と比較すると、「非正規雇用」や「時短労働」といった要因によって障がい者雇用の給与水準は低いことが多いです。
業務時間や業務内容に配慮してもらえる代わりに、給与に影響があります。

また、一般雇用と人事制度が異なり、昇給やジョブローテーションがなく、同じような業務が続くという企業もあります。契約社員やパート、アルバイトといった有期雇用契約からスタートすることが多いという傾向もあります。

障がい者雇用の制度

ここまで障がい者雇用の特徴について説明してきましたが、それでは、実際にどのような制度が適用されているのでしょうか。ここでは、障がい者雇用の制度について解説します。

障害者雇用率制度(法定雇用率)

障害者雇用率制度とは、企業や自治体に対して障がいのある方の就業を促進するためにできた制度です。障害者雇用促進法は、「法定雇用率」を定めており、従業員43.5人以上の事業主に法定雇用率以上の雇用を確保することを義務づけています。

民間企業 2.3%
国・地方自治体 2.6%
都道府県等の教育委員会 2.5%

なお、法定雇用率は令和3年3月1日より上記の割合に引き上げられました。

参考:厚生労働省「リーフレット(令和3年3月1日から障害者の法定雇用率が引き上げになります)」

合理的配慮

障害者雇用枠で雇用した企業は、障害者雇用促進法によって採用された方に対する「合理的配慮」が義務づけられています。合理的配慮とは、障がい者が仕事をする上で支障となる状況を改善したり、調整したりすることです。

具体的には、通院のために出退勤時間や休暇の調整を行う、視覚障がいのある方のために音声ソフトを用いる、聴覚障がいのある方のために筆談を利用するといった配慮が挙げられます。

合理的配慮の内容は、一人ひとりの障がいや特性に応じて考えることが求められます。また、実際にどの程度の配慮ができるかは、企業の規模や状況によって異なるでしょう。そのため、できる範囲内の配慮をお互いの合意のもとで行う姿勢が大切です。

参考:厚生労働省障害者雇用対策課「合理的配慮指針事例集」

就労移行支援ならココルポート

障がい者雇用を利用して働きたいと考えている場合は、以上のように制度の内容や条件について理解することが大切です。誰でも利用できるわけではないので、今回の記事を参考にしてみてください。また、メリットだけではなくデメリットもあるという事実も理解することが重要です。一般雇用と比較して、ご自身にはどちらが合っているのか、検討してみましょう。

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社会保険労務士

西岡 秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士

国内の生命保険会社に25年勤務した後、西岡社会保険労務士事務所を開業。現在は、社会保険労務士として活動するとともに、社労士会からの委託を受け日本年金機構・年金事務所にて週2日ほど勤務、また金融や労務を中心に記事を執筆・監修。

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