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適応障がいとは?

適応障がい

適応障がいは、ストレスを原因とする精神障がいの一種です。ストレスがなくなれば自然に症状が軽くなっていく例もありますが、日常生活に大きな支障を来す場合は薬物療法・心理療法などを用いた治療が必要となります。
ここでは、適応障がいの原因や症状、主な治療法など、基本的な知識をまとめました。

適応障がいとはストレスが原因で生活面に困難が生じる障がいのこと

適応障がいとは、長期間かつ過剰なストレスにより、日常生活が困難になるほどの精神的・身体的な不調を来す病気のことです。
ストレスによる身体的・精神的な症状が病的なレベルに達すると適応障がいを発症し、仕事や家事、育児、学業などをこなすことが困難になります。

適応障がいを含むストレス関連障がい、神経症性障がい、身体表現性障がいの患者の国内患者数は、ここ20年ほどは年間50万人台で推移していましたが、2017年は80万人を突破しており、ストレス社会が産んだ現代病として問題視されています。

 

適応障がいの原因は日常的なストレス

適応障がいの主な原因は、日常のあらゆるシーンで受けるストレスです。
ストレスと言うと、嫌なことや辛いことをイメージしがちですが、もともとストレスとは、外的刺激に対して緊張した状態のことを指します。
そのため、天候や気温、騒音など周辺環境から受ける刺激や、病気・疲労・睡眠不足から来る身体的な影響、さらには恐怖や不安、悩みといった心理的な影響など、緊張状態を引き起こす外的刺激であれば、すべてストレスに含まれます。
なかには結婚や妊娠・出産、新居への引っ越しなど、おめでたいとされる出来事がストレスになるケースも少なくありません。
他の人にとって何でもないことでも、その人にとってストレスとなれば適応障がいのきっかけになり得ますので、原因となるストレス要因を第三者が判定するのは困難とされています。

 

適応障がいの症状は4つに分かれる

適応障がいの症状は、ストレスの度合いや、その人の性格などによって異なりますが、主に4つの症状に分類されます。

1. 不安をともなう症状

ストレスに対して不安や神経過敏、心配のしすぎやイライラなど、主に精神面に不調を来す症状です。人によっては焦燥感や怒りなどを感じることもあります。

2. 抑うつをともなう症状

ちょっとしたことで気分が落ち込んだり、涙もろくなったり、意欲が低下したりする症状が起こります。

3. 身体的不調を来す症状

頭痛や腰痛、腹痛、不眠、疲労など、身体的な不調を来します。

4. 行動をともなう症状

ストレスが大きく、かつ慢性化すると、何でもない行動を苦痛に感じたり、突発的な衝動にかられたりすることがあります。この突発的な衝動で、自殺をすることもあり得ます。

ほかには、遅刻や無断欠席を繰り返す、人に会えないなど、仕事や日常生活に支障を来す行動が見られるようになります。人によっては自暴自棄から暴飲暴食をする、第三者に対して攻撃的な態度を取るなどの症状も見られます。

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適応障がいのチェックリスト

適応障がいは早い段階に自覚し、適切な対応を行えば、短期間で改善することも可能です。
以下のチェックリストを確認し、複数の項目に当てはまる場合は、カウンセリングを受けてみることをおすすめします。

適応障がいのチェックリスト

・ストレスを感じやすい
・すぐ疲れを感じる
・真面目な性格だ
・仕事・学校に行くのが苦痛だ
・憂鬱になったり、イライラしたりすることが多い
・頭が重い、めまい、肩こりなどを感じやすい
・飲酒・喫煙の頻度が増えた
・生活環境の変化に過敏である
・声が出ない、黙り込むなどの症状が増えた

適応障がいの治療はストレスの除去・適応力の向上がメイン

適応障がいによって生活面に大きな支障をきたす場合、医療機関などで専門治療を受ける必要があります。
具体的な治療法は症状や状況によりますが、大きく分けると「ストレス要因の除去」「認知行動療法」「薬物療法」の3つがあります。

1. ストレス要因の除去

ストレスとなっている原因がはっきりしている場合は、ストレス要因を取り除くことが最良の治療法となります。
たとえば、職場の人間関係が原因なら転職する、騒音に悩まされているなら引っ越すなどです。
ただ、適応障がいは簡単に取り除けないストレスが原因となっているケースが多いため、他の治療法との併用が必要です。

2. 認知行動療法

ストレス要因の除去が難しい場合、ストレスに対する適切な受け止め方を学習・訓練する必要があります。
また、人によっては何がストレスになっているのか正しく理解していないケースもありますので、まずは自分のストレス要因を正しく認知し、どう対応すれば過度な刺激を受けずに済むのか、適切な対応の仕方を学びます。ただし、ストレスと向き合うことは心理的な負担を感じる場合もあり、カウンセリングが全員に向いているわけではありません。

3. 薬物療法

適応障がいによって起こる精神的・身体的な症状を抑えるための投薬を行います。
たとえば不眠に悩んでいるのなら睡眠導入剤を、強い不安や緊張を感じる場合は抗不安薬を処方したりします。
ただ、薬物療法はあくまで対症療法ですので、ストレスの除去と認知行動療法で治療を進めるのが基本です。

 

適応障がいの人が生活上で注意すべきポイント

適応障がいの人はストレスの発散が苦手で、一人で不安や悩みを抱え込みがちです。適応障がいの原因は自分ひとりで見つけるのが難しい場合もありますので、心身に不調を感じたら我慢せず、周囲の人に助けを求めましょう。

家族や友人など身近な人はもちろん、医療機関やカウンセラー、精神障がい者の支援団体など、専門機関に相談するのも有効です。

適応障がいを正しく理解して適切な治療・支援を受けましょう

適応障がいになると、日常生活を普通に送ることが難しくなり、仕事や家庭、学業に悪影響を及ぼすおそれがあります。
長期にわたって心身に不調を感じる場合は適応障がいを疑い、適切な治療や支援を受けましょう。

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精神保健指定医/日本精神神経学会専門医・指導医

岡田夕子(おかだ ゆうこ)

精神保健指定医/日本精神神経学会専門医・指導医

2005年滋賀医科大学卒業後、小児科や産業医として勤務した後に精神科へと転身。身体的、精神的症状を訴える患者を受け持つ。思春期特有の心の病気に取り組む「思春期外来」も担当しているほか、精神科系の記事執筆や監修なども行っている。



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