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発達障がいの方が就職する際に留意すべきポイントと実際の事例を解説
公開日:2023/02/15
更新日:2024/04/26
発達障がいで就職を考えている方の中には、就職の際の困難や注意点などについて気になっている方も多いのではないでしょうか。また「就職活動が難しい」「採用されても仕事を継続できるのだろうか」といった悩みや不安を抱える方もいるでしょう。
本記事では発達障がいの方の就職は難しいのか、実際の就職率や就職事例および就職する際に気をつけるべきポイントを徹底解説します。
※近年、「発達障がい」という名称は、国際的な診断基準の改訂によって、「神経発達症」「神経発達障がい」という名称へ移行しつつあります。 ここでは、世間でも比較的なじみのある「発達障がい」という名称でお話をすすめます。
目次
発達障がいの方の就職は難しい?
近年、障がい者の雇用率は全体的に上昇してきており、発達障がいの方も就職しやすい状況になりつつあると言えるでしょう。特に発達障がいは、その特性を持つ方が増加傾向にあるため、社会への認知度も年々高まりを見せています。また、民間企業の障がい者雇用に関する法整備も進んでいます。
しかし、障がいのある方が正社員として雇用されるのは4人に1人となっており、まだまだ厳しいのが現状です。1人で就職活動をするのが難しい方は、適切なサポートを受ける必要があると言えるでしょう。
発達障がいの方の就職事例
ここでは、発達障がいの特性を持つ20代男性と20代女性の就職事例をそれぞれ見ていきましょう。
どのように就職活動を行ったのか、その中での困りごとやそれに対する工夫なども紹介します。
Aさん(20代男性)の就職事例
Aさんは、就職活動前に就労移行支援を利用し、就職活動に向けてパソコン講座と面接練習を受けました。その中で、MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)の資格を取得しました。
面接練習では、自分自身の弱みに対する対処の仕方や障がいの特性を伝える方法を学び、10社ほど面接を受けたものの、不合格が続きました。しかし、Aさんには「就職をあきらめたくない」との強い意志があり、ハローワークへ通いながら就職活動を続けた結果、情報通信系企業の求人票を見つけ、面接を受けました。
結果、見事就職が決まり、現在では3年が経過しています。Aさんは、もともと人と交流するのが苦手でしたが、仕事を通して同僚とコミュニケーションを図りつつ業務に取り組めるようになっていきました。
Aさんの就職事例に関してさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
Bさん(20代女性)の就職事例
Bさんは、就職活動への不安を病院に相談したところ就労移行支援事業所を紹介され、緊張しつつも通い始めました。
困ったことがあった時、また質問したい時に遠慮がちであったため、就労移行支援では自分からスタッフに声をかける練習を行っていました。
スタッフから提案されたメッセージカードを使い、自分の気持ちを発信し始めたところ、少しずつ遠慮がちなところが変化してきました。就労移行支援に通い始めて約1年半が経った頃から就職活動を開始し、履歴書を何回も添削してもらい、面接練習にもがんばって取り組みました。
Bさんは、周りに比べ作業スピードは遅かったものの、努力を重ねた結果、正確に業務をこなそうとする長所が活かせる会社に就職できました。上司やチームメンバーも優しく対応してくれて、仕事でミスをしても落ち込むのではなく「改善策を考えながら成長していきたい」と今では前向きに考えられるようになっています。
Bさんの就職事例に関してさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
発達障がいの方が就職する際に留意すべきポイント
一般的に発達障がいの方は、障がい者雇用枠で就職する方が、配慮やサポートを受けやすくなります。
ここでは、一般雇用と障がい者雇用の違い、正規雇用・非正規雇用について解説します。さらに発達障がいの方に向いている仕事も紹介していきますので、参考にしてみてください。
一般雇用と障がい者雇用の違いを理解する
一般雇用と障がい者雇用では応募条件が異なります。採用後の職場環境に大きく影響するため、違いを理解することが大切です。
まずは、一般雇用と障がい者雇用、それぞれの条件やメリット・デメリットを解説します。
■一般雇用とは
一般雇用は、いわゆる通常の雇用であり、障がいのある方が応募することも可能です。職種の幅が広いため、自分の希望する企業に応募できるというメリットがあります。また、仕事の規模や責任の大きさ、経験に応じて昇給や昇格する可能性も高いです。
ただし、一般雇用で自分の障がいを企業に伝えなかった場合、企業側からの配慮が得られにくい可能性もあります。そのため、残業の発生や業務への責任などの負担が生じることもあります。他にも、周囲の理解が得られづらいといったリスクの発生が考えられるでしょう。
■障がい者雇用とは
障がい者雇用とは、障害者雇用促進法により自治体や企業が特別に設けている雇用枠です。障害者雇用促進法は、障がいのある方の自立を促進するための法律となります。
障害者雇用促進法では「法定雇用率」が定められており、雇用する労働者のうち2.3%に相当する障がい者の雇用を企業に義務付けています。また、従業員43.5人以上を雇用している民間企業は1人以上、障がいのある方を雇用する必要があります。
障がい者雇用への応募は、障がい者手帳の所有が条件となっており、持っていない場合は採用されません。自治体から発行される「身体障がい者手帳」「精神障がい者保健福祉手帳」「療育手帳」のうち、いずれかを所有していれば応募可能です。
障がい者手帳に関して、発達障がいの場合は、精神障がい者保健福祉手帳の該当になる場合が多いです。ただし、知的障がいもある場合は、療育手帳の適応にもなり得ます。
障がい者は会社から自分の特性に応じた配慮が得られます。障がいのある方も安心して働ける環境が整っている点が、障がい者雇用のメリットと言えるでしょう。しかし、障がい者雇用は基本的に職種の幅が狭く、給与は一般雇用と比較して低水準、昇給もしづらいのが実態です。したがって、障がい者雇用で就職する場合、企業選びが重要といえます。
企業の中には、過去の雇用実績を公開している会社も存在するため、これまでに雇用してきた方の障がいの種類や、また採用してきた職務などを確認してみるとよいでしょう。
参照:厚生労働省「障害者雇用促進法の概要(昭和35年法律第123号)」
正規雇用と非正規雇用のどちらを希望するか検討する
就職活動において求人に応募する際、正規雇用か非正規雇用かを選ぶ必要があります。
- ・正規雇用とは
- ・非正規雇用とは
正規雇用とは、期間の定めのない雇用契約をむすぶ、いわゆる正社員です。一方、非正規雇用は、それ以外のアルバイト・パート・契約社員などのことです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
■正規雇用とは
正規雇用は、福利厚生や給与水準における待遇が良く、責任の大きな仕事を任せられる可能性があり、キャリアアップやスキルアップにつながるのがメリットです。
会社が倒産したり、または自主退職したりしない限りは職を失わない可能性が高いため、安定性があります。ただし、仕事への拘束性があり、責任が重い、休みが取りにくいといった問題が発生しやすい点がデメリットとなります。
また、異動や転勤を命じられることもあり、仕事内容も自分の希望通りにいかないケースが多いです。
一般的に正規雇用では、会社に長期で就労できる人材が求められているため、成長を期待されます。安定した待遇が得られる半面、会社から求められる期待値が高くなるので、仕事が合わないと強いストレスを抱えることになる可能性があるでしょう。
■非正規雇用とは
非正規雇用は、雇用期間が設けられているため、拘束性が少なくワークライフバランスを実現しやすい点がメリットと言えるでしょう。正規雇用にありがちな厳しい入社試験はなく、比較的就職・転職がしやすく異動が少ない場合や、そもそも異動がないケースもあります。
しかし、非正規雇用は正規雇用よりも賃金や待遇面で良いとはいえず、安定性に欠けることが多いです。また、選べる職の幅が狭く、企業の業績が低下した際に契約を切られることがあります。非正規雇用はワークスタイルに自由が利く一方で不規則な働き方になりがちなので、自己管理をしっかり行う必要があります。
自分の特性を理解する
自分に合った仕事に就くためには、まず特性を理解することが大切です。
ここでは発達障がいの中でも代表的な、「ASD」(自閉スペクトラム症)「ADHD」(注意欠如多動症)「LD」(学習障がい / 特異性学習症 / 発達性学習症)という3つの障がいの特性について解説します。それぞれ特性が異なるため、向いている仕事も変わることが多いです。
- ・ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている可能性がある仕事
- ・ADHD(注意欠如多動症)の方に向いている可能性がある仕事
- ・LD(学習障がい/ 特異性学習症/発達性学習症)の方に向いている可能性がある仕事
それぞれ見ていきましょう。
■ASD(自閉スペクトラム症)の方に向いている可能性がある仕事
ASDの方は表情や言葉、視線などから相手の考えを察したり、自分の気持ちをうまく伝えたりするのが苦手で、人とのコミュニケーションが取りにくい特性があります。また、こだわりの強さから臨機応変な対応ができず、変化に弱いところもあります。
このような特性からASDの方は人との関わりが少なく、変化の少ない決まった業務を行う仕事で能力を発揮できることが多いです。マニュアルによって業務内容が定まっている事務や受付、製造などの仕事が向いている可能性が高いでしょう。
■ADHD(注意欠如多動症)の方に向いている可能性がある仕事
ADHDの方には「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性があります。そのため、注意の持続が難しく、忘れ物や失くし物が多くなりがちです。また、マルチタスクが苦手で集中力が続かず、仕事を期限内に終わらせるのが難しい傾向にあります。
一方で、ADHDの方が持つ「発想力」「感受性」「行動力」は、職種によっては強みとなる特性です。Webデザイナーやイラストレーターなどのクリエイティブ系、またはITエンジニアのような仕事を選ぶと、特性を活かせる可能性が高いでしょう。
■LD(学習障がい/ 特異性学習症/発達性学習症)の方に向いている可能性がある仕事
LDの方は「読む」「書く」「聞く」「話す」「計算する」などのうち、特定の技能において発達の遅れがみられます。LDの方の場合、苦手な部分を補助する工夫を行うと、仕事への支障を軽減できるケースも多いです。
たとえば、連絡事項を聞いて書き留めるのが苦手な場合、文字起こしツールを利用したり録音したりといった工夫が考えられます。資料や書類も可能な範囲で、スマートフォンやタブレットを使い写真に撮って残せば、メモ代わりにもなります。
仕事選びにおいては、自分の特性や得意分野に合った職種および理解のある企業を探しましょう。また、LDの方で視覚認知が優れている方は、デザイナーやカメラマンなどの仕事で活躍できる可能性もあります。
発達障がいの方が就職する際に利用できる就労支援
就職する際、発達障がいの方が利用できる就労支援は下記の3つです。
- ・就労移行支援
- ・就労継続支援A型
- ・就労継続支援B型
いずれも発達障がいの方が抱えがちな悩みを踏まえ、本人の特性に合った仕事探しや就労を継続するためのサポートをしてもらえます。
それぞれ見ていきましょう。
就労移行支援
就労移行支援とは、障がいのある方が就労を希望する場合に、職業訓練、一般企業への就職活動さらに職場への定着までを広く支援するサービスです。
利用者には就労に必要な訓練(面接対策やスキル習得など)が行われ、履歴書の作成や添削などのサポートを受けることも可能です。
就労継続支援A型
就労継続支援A型は、一般企業への就労が困難な方、継続的な就労が難しい方を対象としたサービスです。
就労継続支援A型は雇用契約を結んだ上で勤務でき、給与が支払われますが、65歳未満という年齢制限が設けられています。
就労継続支援B型
就労継続支援B型も、一般企業への就労が困難な方、継続的な就労が難しい方を対象としたサービスです。
就労継続支援B型には雇用契約がなく、A型の給料よりもやや低めの工賃としての支払いになりますが、利用可能な年齢制限がありません。
就労移行支援ならココルポート
発達障がいの特性は人によって異なるため、就職活動の前に自分の特性を理解し、それを活かせる仕事を探すことが大切です。就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく就労支援サービスの1つです。就労移行支援事業所を利用し、一般企業への就職を目指す方は年々増加傾向にあります。
発達障がいの方は対人コミュニケーションが苦手なことが多く、悩みや不安を一人で抱え込んでしまう場面も多いのではないでしょうか。就労移行支援事業所の「ココルポート」では、発達障がいの方が自分の特性に合った仕事を見つけ、継続して就労するためのサポートをしています。無料での見学・相談も受付中です。
まずは「ココルポートの見学・相談」から気軽にお問い合わせください。
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